• あり得ない取り組みをしなければ、あり得ない結果は得られない。信州安曇野で果樹栽培をしています。

梨の「火傷病」ショック!

 近年、梨やリンゴなどのバラ科植物の病気である「火傷病(かしょうびょう)」の拡大が問題になっている。

 この病気が発生すると果樹農家には壊滅的な被害を及ぼすと言われる伝染病で、有効な防除法が確立されていないため、発見されると伐採が必要になる。2000年に米ミシガン州で発生した際は620~920haのリンゴ園地が廃園になったという。

 日本ではまだ発生していないというが、感染苗木や花粉、接ぎ木、剪定作業などで感染木に触れた農機具、ハエや蜂、風雨などにより拡大するという。すでに57か国で発生しているとの報道で、発生国からの(人口交配用の)花粉や苗木、果実については輸入が禁止された。

 国内主要産地である千葉県では、(発生国である)中国産に依存していた農家が多く、花粉や苗木の自給強化が課題になっている。苗木の確保や受粉樹の確保は容易ではない。また、植物検疫法で発生国からの花粉や苗木、果実の輸入を禁止していても、検疫条件を合意した米国やニュージーランド産のリンゴ果実は輸入している。

 ひとたび国内産地で発生すれば、その地域は(産地として)絶命するに等しいとさえ言われている。

 当園は小規模多品種栽培しているため、結果的に花粉を自給しているに等しい状況になっている。狭い園内には様々な品種がモザイク状に配置されているため、別品種の花粉が園内にばらまかれている状況になっている。したがって、梨の人工交配はやっていない。6年前から苗を植えてきたスモモについては人口交配していた。中国産を使用した事もあったが、国産の花粉を使用していて、3年前には(意識して)他のスモモに花粉を供給できるサンタローザを植えていた。梨と同じく狭い園地に5品種が並ぶ状況になっているので花粉の調達に悩むことはない。

 また、今シーズンからは養蜂家Mさんの協力もあってミツバチという助っ人を得ている。人手によらない交配をやった。園内にある品種相互の花粉交配のため、来シーズンもお願いする事になっている。(梨やスモモが、なぜ花粉の交配をしなくてはならないのかについては、これまでにも紹介した。)

 人間においてコロナが世界に広がったように、この火傷病の日本への侵入が報道される可能性も否定できない。恐ろしい事だ。