当園の貴陽は苗を植えてから3年が経過した。昨シーズンはいくつか実をつけたが、熟すことなくすべて落果してしまった。今シーズンは2本の木に現在も数十個程度実をつけたまま色づいている。
すももの中でも貴陽の樹勢はかなり強く、初年度から木の「伸び」が良いばかりか、枝も非常にたくさん出ていた。冬季に実施した剪定では、かなり枝を切ったつもりではあった。しかし木の周辺では太陽の光がさえぎられているといった状態。
さて、だいぶ色づいてきた貴陽だが、収穫の目安を自分の体感に刷り込むためにも、弾力と色味を感じて試験採取し、実際に味を見る必要がある。新しい品種を育ててその実を手にして包丁を入れるというのは、期待と不安が入り混じる。香りを感じ、味を評価して、糖度も調べる。
収穫適期は近いと感じた。香りもいい、酸味と甘みも程よく、糖度は12~16.2度あった。大きなものは重量が299gあって、300g越えもあると書籍にも紹介されていた通りの大きさに驚かされる。輪紋を防止するためにもと実施した傘紙掛けだったが、いずれも薄い紋があった。切断してみると月光やケルシーにみられるような、種の上部の空洞は全く見られなかった。
余談であるが、今回の試験採取の際に、月光の木に一つだけ取り残した実があった。見た瞬間に「はっ」と思った。私が以前から求めていた月光のイメージそのままの実になっていたからだ。驚いたのはそれだけではない。切ってみると月光に特徴的な内部の種の上部にあるはずの空洞が全くない。糖度は13.2度と甘かった。香りもある。偶然の産物か!?定かではない。