• あり得ない取り組みをしなければ、あり得ない結果は得られない。信州安曇野で果樹栽培をしています。

すもも月光の収穫

 すももの「月光」の収穫をした。昨年の反省を踏まえて早めの収穫を心がけた。というのも、このところの雨天続きの影響か「裂果」が激しく、果梗付近から「劣化」して赤く色づいて販売には不適な果実が全体の60%近くなっている。早めに収穫しないと商品価値のないものの率が上がってしまう。

 「月光」は栽培が難しい品種だという事は苗を植えた後で知った。何とも間抜けな話になるが、私には栽培の難易度は関係ない。この品種の栽培を始めたのは、今は亡き義父がずっと以前に育てていて、食べさせてもらった月光の味が忘れられなかったからだ。

 その月光の木はその後、枯れて朽ちてしまったのだが、「定年後には月光を育ててみたい」と、義父に話すと喜んでくれた。苗を植えるときには、すでに足が弱っていた義父だったが手伝ってくれた。

 また、義父の月光が収穫できていた頃のこと、その頃勤務していた会社の社長に食べていただくと「これはうまい!うちの社員を使って栽培したいくらいだ」と、冗談で発した言葉とはわかっているが、そのように言っていただけたことが今の私の支えになっている。

 ただ、現状は厳しく、商品価値のある月光の収量はあまりに少ない。ネット上でも月光を「幻のすもも」などとキャッチコピーを掲げられている事は、栽培の難しさを物語っているようだ。冒頭にあげた「裂果」だけでなく、受粉して着果する率も悪く、せっかく着果したかと思うとかなり高率に生理落果

するし、収穫後の「劣化」のスピードも販売を難しくしている。

 業者向けに販売しようとすると少し早めの収穫が必要だ。青いバナナと同じイメージ。完熟した状態で出荷すると、何日も持たずにすぐに「劣化」する。

 写真にもあるが、少し緑がかった状態から、少し飴色がかった黄色になり、先端部から赤みを帯びてくる。赤味が果実の半分までくると、果肉が柔らかくなり始めて、さらに進んで全体に赤みを帯びる状態では甘いが柔らかすぎる感じだ。果実の先端部3分の1くらいまで赤みを帯びた状態ならば果肉もある程度の硬さを保持している。その状態だと皮の付近の酸味がきついので、酸味を嫌う場合は皮を剥いて食べると、果肉の適度な硬さと甘さを感じる事ができる。この辺りは好みによる。