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すももの人工交配(花粉つけ)

 当園で栽培しているすももは、月光、ケルシー、貴陽、太陽の4品種。貴陽と太陽はまだ植樹から3年目を迎えるところで、ようやく今年から少し収穫できるものと思っている。

 開花時期は月光と貴陽にやや遅れてケルシー、さらに遅れて太陽といった順番。それぞれはほとんど自家受粉が見込めない(自家不結実性)ため人口交配をすることになる。交配するための花粉は例年ネット販売されている輸入花粉を使用していた。種苗法改正の影響なのか今年は同じものが入手できず、国産の花粉のみ販売されていたように思う。購入した花粉の説明書には品種が明記されていない事にやや不満を感じたが、恐らく大石早生やサンタローザなどのように、多くの品種と相性の良いものだと思う(期待したい)。

 冷凍保存されているので、使用する前夜にトレイに広げ、保温バックにいれて20℃から25℃になるようにしておいた(順化作業)。交配を始める直前になって石松子(花粉増量希釈のための赤色粉末:常緑多年性シダ植物ヒカゲノカズラの胞子)と花粉を混合して使用する。交配作業済の蕾を識別しやすくしてくれる。

 昨年は2度行ったが、花の開花前後に雨が降り、交配作業後の気温も上昇しなかった。そのためか、9本あった月光のうち5本はほとんど結実に至らなかった。後で知った事だが、すももは杏子でも受粉可能とのことで、結実が良好だった月光の近くには杏子の木がある事から、昨年の交配作業はほとんど無効だったとの予測も成り立つ。

 今年は4月16日、20日、23日の3回実施した。初回の16日は、最高気温の予測が15℃だったが実際は13.7℃だっただけでなく開始直後から風が強また。ほとんど無駄な作業になったかもしれない。2回目は最高気温21℃となったが、やはり風の影響があった。3回目となると、すでに月光と貴陽は花が散り始めていて、ケルシーも交配可能と思われる花は20%に満たない気がした。太陽は40%くらいだっただろうか。

 花の開花時期に少し低温が続いた今年。さてどのような結果になるだろうか。