• 問屋ファームでは、信州安曇野で育った果物(梨やスモモ)の販売をしています。

がっかりな出来事

 今シーズンの収穫をほぼ終えて一番がっかりした出来事は、スモモの接ぎ木に成功してようやく1個の実をつけたスモモ(太陽)が、元の木ごと枯れてしまった事。最後の1か月は衝撃的ともいえる。

 話を分かりやすくするため、時系列を逆に示すと写真にあるようにスモモの木が1本だけまるごと枯れてしまったのです。この元木はスモモ(月光)で、黄色の○で囲った部分には傘をかけたスモモ(太陽)の実が一つだけついていました。他にも傘の白い部分が見えますが、これらは元木のスモモ(月光)の実にかけたもの。つまり、2020年の5月に「月光」の木の枝の一部分に「太陽」の接ぎ木が成功して、一度冬を越えた2年目の今シーズンに接ぎ木から伸びた枝に1個の太陽の実がついていたのです。

 

 昨シーズン接ぎ木をしたのは5月10日の事です。接ぎ木(高枝接ぎ)をすることで異品種が一つの木に混在して成長することになるのです。

 私も失敗しながら学んだのですが、接ごうとしている木を「穂木」と言いますが、例えば隣の異品種の木の枝を持ってきて接げばよいのではなく、「穂木の下ごしらえ」が必要になります。これを知らずに2019年は失敗しています。

 冬が近づいてきて葉を落とした木が、春からの成長に備えて「樹皮に栄養を蓄える」ため、「穂木」の切り取り確保を寒中に行って冷蔵保存しておきます。接ごうとする相手の木が春になって活発化して、根から水分(養分)を吸収するようになってから、冷蔵保存しておいた穂木を接ぐことで成功率を高める事ができます。接ぎ木が成功して異品種の木が一体化するまでの間は、穂木には栄養供給されていませんので、穂木は自身の樹皮に蓄えた栄養で生き延びます。

 リンゴやナシと違い、スモモの接ぎ木の成功率は高くないのだそうです。

 接ぎ木をしてからの成長過程を写真で示しましたが、最後に傘掛けした写真は6月14日です。先に示した枯れた元木の写真ではその1か月後の7月15日に撮影しています。急激に枯れてしまいました。その時点であきらめていましたので周辺に除草剤を散布しました。そのせいもあって7月28日の写真では下草も枯れて見るも無残な状態になっています。

 枯れた木のすぐ隣には別の月光の木があります。そして背景には梨の木もたくさんあります。しかし全く枯れていません。写真の1本の木だけがあっという間に枯れてしまったのです。これは「紋羽病ではないか」との先輩の指摘で、簡易的なテストをしました。しかし、紋羽病であることは証明できませんでした。

 接ぎ木をしたのはこの木だけではなく、他にもスモモ(ケルシー)の木があって接ぎ木できています。同じ2020年5月に行っていたものですが、こちらは花が咲いたものの実をつけることはありませんでした。今では立派な太さになっています。来シーズンに期待しています。

 

コメント一覧

すもも太陽の剪定と穂木確保 – 信州安曇野問屋ファーム2022年2月27日 22:29 /

[…]  そこで剪定と同時に、接ぎ木をするための穂木の確保をしなくてはならない。穂木は5月から6月頃に使用するため、保湿して冷蔵保存して接ぎ木をする時に備える。写真は保存する穂木だが、乾燥しないように水で湿らせたハンカチと共に袋に入れて冷蔵庫に保存する。この冬の時期に保存して、春になってから使用する。それにはそれなりな理由がある事を以前(がっかりな出来事)に書いた。 […]