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コムクドリの映像「啐啄同時」

 今回は保存映像の紹介です。巣箱の中に設置したWebカメラが、コムクドリの卵からヒナがかえる状況をとらえた一部です。

 状況説明をすると、卵の異変に気付いたメスの親鳥が、抱卵の交代に来たオスに任せて外に出てエサをくわえて巣箱に戻ってきます。映像はそこから始まっています。その時すでに卵の1個目からヒナが顔を出しています。2個目の卵にはわずかに穴が開き始めているところでした。メスの親鳥が(私が観察している中で)それまで出したことのない声をあげながら卵とヒナの様子を見ています。その声は、まるでヒナの誕生を愛おしそうに迎えている時の特別な声に聞こえました。

 「啐啄同時(そったくどうじ)」という言葉があります。卵からヒナがかえるとき、ヒナが卵の内側からつつき、親鳥が卵の殻の外からつつくのが同時である、まさに好機を言うのだそうです。これは禅語で、師弟の呼吸があい、その時悟りが開ける事をあらわしている。

 成長する者と、それを導き促す者が調和する、または共鳴する貴重な瞬間を言うのかもしれません。親子愛や師弟愛になぞらえることができそうです。

 2023年がスタートしました。家庭での子育て、職場での社員教育、学校やスポーツでのコーチングなど、いろいろな場面でこの好機を逃さず「啐啄同時」が起こることでしょう。

 加えて言うならば、少子化で若者が少なくなっているこの頃ですが、若者の感性から学び取る「好機を逃さない」年寄りでありたいと思う私です。