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平核なし柿の収穫と脱渋

 例年、平核なし柿を収穫している。渋柿なので脱渋しないと食べることができない。干柿にすることが一般的で、近隣の農家の軒先にはこの時期になると干柿を吊している光景が見られる。

 干柿作りを体験しようと、最初の年は面白半分に60個ほど皮をむいて干していた。ところが、できた干柿の小さい事に落胆したものだった。それもそのはず、水分がかなり抜けてしまうのだから小さくなるのも当然だった。今年は4シーズン目になるので、過去の反省をもとに少しは上手に作りたい。

 今シーズンは大きめの柿を収穫したいと考えて、積極的に摘果作業をした。秋になって柿が色づいてみると、意外に沢山の柿が実をつけていて驚いた。柿の葉に隠れているものを見逃していたり、枝が折れやすいため消極的な摘果になっていた部分が露呈した形だ。それでも、柿は摘果せずに放置していると隔年結果になりやすいというが、そうした現象は防止てきているようだ。

 例年よりは大きめの柿が多く収穫できた。写真にもある通り最大で325gあった。皮をむく作業でも、大きい実はいいが、小さな実は面倒で手をつけたくない。今年は250g以上の大きなものだけを干柿にする事にした。250g以下のもので、あまり傷やスレのない実を選別して脱渋することにした。

 脱渋した柿を知人に差し上げると大変喜ばれる。甘い上に「たねなし」であることから、ガブリと口にほうばる事ができ、お子さんにも喜ばれているようだ。そうした方たちから「脱渋の方法」を聞かれる事もあるので、以下にその方法をまとめた。私は手軽さから「アルコールでの脱渋」を行っている。「脱渋」とは言うが、舌に感じる渋み(可溶性タンニン)を舌に感じない「不溶性タンニン」にすることが目的。

  1. 加温
    • 40℃程度のお湯に半日以上漬けるというもの。温度を一定に保つ必要がある。加温そのものが果実を傷めている状態なので、脱渋後の劣化が進みやすいことが難点。今ではほとんど行われていないという。
  2. アルコールで処理
    • アルコール(果実酒用や柿の脱渋専用商品もあり:35度)を皿やボールに少しとり、柿のヘタ部分をチョンと漬けるやり方。柿のヘタを綺麗に切り取れば、付着するアルコールの量が少ないためアルコールの節約になります。しかし、私の経験では脱渋に時間がかかるようです。アルコールをヘタ部分に付けたら、ビニール袋に入れて密封して日陰の涼しい場所に10日から14日程度置けば完了です。10℃~15℃くらいの環境です。地域によって違いがあると思いますが、信州では11月ともなると朝は氷点下になる場合もあります。暖房が直接影響する事のない室内に放置しています。
  3. 二酸化炭素で処理
    • 二酸化炭素とすると、何だろうと思われるかもしれません。ドライアイスは二酸化炭素そのものです。業者や大きな選果場では二酸化炭素ボンベから放出して脱渋するそうです。家庭では果実に対する重量比で1.3%のドライアイスを使用し、厚めのポリ袋に柿を入れてから、直接柿に触れないようにドライアイスを入れて、空気を押し出した後で密封状態で4日ほどすれば脱渋できるようです。柿を窒息させるイメージですね。
  4. 干柿
    • 昔から行われていた最も一般的な方法です。皮をむいてひもなどで結んで日陰に干しておく方法です。この場合、渋柿を収穫する時に、ヘタについている枝を少し残して「T字」しておくと結びやすくなります。最近では干柿専用の吊るし用具が販売されています。これを使うと、ヘタ部部分から枝が3㎜程度突出していれば、挟み込んで吊るすことができます。私もこれを使っています。
  5. 完熟を待つ
    • 何だそれは。と言われそうですね(笑)。収穫の時期によっては、すでに完熟した柿が存在する場合があります。試しに食べてみると甘いのですが、(ご想像のとおり)柔らかくなってかろうじて柿の形を保っている感じです。取り残して野鳥たちへのプレゼントにしています。