• 問屋ファームでは、信州安曇野で育った果物(梨やスモモ)の販売をしています。

コムクドリに悲しい出来事

 つい先日のこと、5月22日の15:00頃から巣箱の中のコムクドリのヒナが孵化し始めた。2日間かけて6羽のヒナが誕生して喜んでいた。

 ところが、早朝の散歩に出かける前の事、いつものように巣箱の中の映像をスマホで確認すると、巣箱の中が空っぽになっていた。どういうことだ!そんなはずはない!と思いつつも嫌な予感がして、映像をさかのぼってチェックしたところ…

巣箱の中のヒナがすべて蛇に食べられていたのだ!

 うかつだった。以前、自宅周辺の庭木の剪定をしている時に、ミネゾの木の上にキジバトの巣を見つけた。その木だけは剪定をせずに見守っていたところ、ヒナが2羽いて親鳥がせっせとエサを運んでいた。しかし、それに気づいたのは私だけではなかったらしい。野良猫が木に登っている姿に気づいて追い払ったが、見上げるとヒナがいなくなってしまった。

 そんな経験もあったので、巣箱に来た鳥は猫にやられてはなるまいと思って警戒はしていた。ヤマガラが営巣した巣箱は槐(えんじゅ)の木の目立つところ高さ5メートル近い場所を選んでいた。そもそも、巣箱なのだからキジバトのように木の枝に粗末な巣を作るわけではないし、巣箱の中までは猫の手は届くはずもないと思っていた。

 今回のコムクドリの巣箱では、ヤマガラでの成功体験があった事で油断してしまった。蛇の襲撃にも備えるべきだった。それは予見できなかったことではない。蛇は自宅の庭や隣接する梨畑ばかりでなく、2年前には、物置の屋根瓦と屋根の隙間からアオダイショウが頭を出していた事があったのだから。

 コムクドリには申し訳ない事をした。巣箱をかけた私(家主)としては、危機管理がおろそかだった。何とも残念で悲しい。

 昨夜の19:00から20:00の出来事で、巣箱の中は暗かったので映像は赤外線モードのモノクロだったことから、(確信は持てないが)形や大きさ、模様から推測してアオダイショウと思われる。蛇とて我々人間と同じく「他の命を食らって生きているだから」とも思うのだが、まだ目があいていないヒナたちが、次々と蛇に飲み込まれていく様子は悔しすぎるし、悲しすぎる。

 人間とは違い、自然界で暮らす生き物は寿命を全うすることなどまずないという。以前、知人のTさんから「空に沢山舞っている赤トンボは、あの後どうなっちゃうの?」と聞かれた事がきっかけで調べた事があった。例えば神社や公園にいるハトだが、寿命の3分の1位にあたる年齢5歳を越えられるのはごく一部だという。だからといってものすごい数のハトがいるのに、神社や公園に死んだハトが転がっているだろうか、私たちはほとんど見た事がない。いわゆる天敵がいて、赤トンボであれハトであれ、その生物の食物連鎖の上位にいる者の餌食になっているのだという。だからといって急激に数が減るわけでもない。次々と命が生まれてもいる。空に無数に舞う赤トンボが、そのまま地面に落ちて足の踏み場もない状況になるなどという事はない。

 卵の殻をヒナが破り、親鳥がそれを助けている時に、メスの親鳥がかすかにあげていた(これまでになかった特別な)鳴き声が思い出された。

 「啐啄同時」という言葉がある。まさに上記のような親鳥とヒナの様子を言っているのだが、子弟の呼吸が一致する時に悟りが開ける事を示しているが、親子愛になぞらえる事もできるのではないか。