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失敗しない「茶碗蒸し」

 義母は現在89歳。食事では最近は硬い食品を避けている。また、食が細くなってきて食べる量も少なくなってきている。年齢的にもやむを得ない事ではあるのだが。

 義母にとって卵は万能食品との認識があるようだ。最近は高病原性鳥インフルエンザ感染の問題からニワトリの殺処分が相次ぎ、卵の価格も高騰し始めている。それでも安価なタンパク源として卵は欠かせない。 ご飯と味噌汁、漬物と卵焼きがあれば十分という義母だが、中でもとりわけ茶碗蒸しが大好物。義母にとっては特別な料理で、収穫を祝う秋のお祭りで食べるか、または、宿泊先の旅館や料亭で出される一品と思っているようだ。

 私としては、そのような認識を打破したいという気持ちがあった。食べたい時にすぐにできる「簡単茶碗蒸し」の必要性を感じていた。まぁそれは大げさだが、私は前職を定年退職してしばらく、それまでの生活習慣をリセットしたいとの思いもあり1年近く失業保険で生活していた時期があった。毎朝、妻が仕事に出かけるのを見送って、(後ろめたさも手伝って)家事を一切引き受けていた。食事の支度

のほか、掃除、洗濯と、妻には「私がいないと何もできない」などとは言わせないつもりだった。

 食事のメニューはテレビの料理番組やネットの情報にヒントを求めていた。ある時、テレビの料理番組を見ていると、茶碗蒸しを作る際にだし汁と混ぜた卵を裏ごしして、器に入れた後に楊枝や竹串をつかって気泡を取り除く作業は不要だとして、バーナーで炙る方法が紹介されていた。温めた空気は膨張するため気泡は簡単に取り除けるとの説明に「なるほど」と感心していた。

 すでに、何度か茶碗蒸しを作った経験があったので、その放送を見てからは俄然やる気がわいた。私にとっては一番面倒な作業だと思っていたからだ。だし汁に卵黄をといてから思い切り攪拌。きめ細かくクリーミィ―な状態にすることができることを追試験(お試し調理)した。

 こうなると、後は計測、計量の世界だ。前職は医療機関で計測、計量ばかりしていた私だ。条件を少しずつ変えて調理してみた。以後は義母も喜んでくれる料理のレパートリーとなった。

 以下のような方法で作れば安定した結果になると思われます。

  • 必要なのは「バーナー」です。要するに裏ごしと気泡除去作業が必要なくなります
  • だし汁を作って卵の黄身を、だし汁200mlに黄身1個くらいの割合で入れて攪拌します
  • 卵1個分の白身を入れても大丈夫(入れすぎに注意:すが入る状態は避けたいもの)
  • 泡立ちを気にせず思い切り混ぜて均一化します
  • 具を投入した器に流し込んだ後で、表面の泡をバーナーで消します
  • 気泡はわずかに加温すれば膨張して、みごとに弾けて消失します(表面を焼いてはいけません)
  • 蒸し器やスチーマーで蒸します(高温になりすぎない:90度くらいが理想とのこと)

<茶碗蒸し6個くらい作るには>

  • だし汁:シイタケのどんこのもどし汁を含め、白だしを10倍にします。白だし60mlに水を(もどし汁含め)540ml入れて10倍にします(=合計600ml)
  • 卵の黄身:3個から4個(大きさに応じて)
  • 塩少々 ※白だしに塩分があるので注意
  • 砂糖:好みで大さじ1
  • お酒:大さじ1
  • 具は好みで ※何も入れなくてもOKです
  • 映像では茶碗に流し込んだ後、バーナーで泡消しをして、スチーマーで20分蒸しています